「遊郭編」で登場する上弦の陸の堕姫と妓夫太郎。
ふたりは兄妹でお互いにいがみ合ったりすることもありますが、実は兄想い・妹想いのステキな兄妹なんです。
そんな兄妹愛溢れるふたりの悲しい過去、そして感動のラストをご紹介します!
堕姫と妓夫太郎
堕姫と妓夫太郎は鬼の中で唯一の「2人で1つ」の鬼です。
どちらか1人だけの頚を斬っても倒すことはできず、2人同時に頚を斬り落とした状態でないと倒すことができません。その能力のおかげもあって今までに22人の柱を倒してきた実力者たちです。
普段は妹の堕姫が花魁として生活していますが、いざ戦闘になると妓夫太郎が堕姫の身体の中から出てきて共に戦います。
また、妓夫太郎は堕姫のことを操りながら戦うことができて、その際には堕姫の額に妓夫太郎の目が出現します。
堕姫の血鬼術
堕姫は帯を使って攻撃をしかけてきます。
その帯には人を取りこむ能力があり簡単に人をさらえるので、気に入った人間を帯に閉じこめておき好きなときに出して喰らうことができます。
八重帯斬り(やえおびぎり)
8本の帯はまるで刃物のように鋭く、逃げ場所を与えないように攻撃していく。
妓夫太郎の血鬼術
妓夫太郎は鎌の使い手で、鎌から繰り出される「血鎌」には猛毒があります。
飛び血鎌(とびちがま)
薄い刃のような血の斬撃を飛ばす技。その斬撃は敵にあたってはじけるまで動き続け、妓夫太郎の意志で操ることができる。
跋弧跳梁(ばっこちょうりょう)
血鎌を回りに巡らせて攻撃を防ぐ。雛鶴の放ったくないを防ぐときにつかっていた。
円斬旋回・飛び血鎌(えんざんせんかい・とびちがま)
鎌を振らずとも血鎌を腕にまとうことができる。主に接近戦でつかわれる。
堕姫と妓夫太郎の過去
堕姫の人だった頃の名前は「梅(うめ)」です。亡くなった母親の病名からつけられたということなので、母親はおそらく梅毒によって命を落としたのでしょう。
ふたりは遊郭の最下層で生まれ育つこととなります。
忌み嫌われる妓夫太郎
裕福でない家庭にとって子供はお金のかかる迷惑な存在でしかなく、妓夫太郎は生まれてくる前、そして生まれてからも何度も殺されそうになりました。
親の愛など知らず、それでも必死に生きてきたのです。
周りからは醜い声や容姿を罵倒されたり石をなげつけられることもしばしば。
お腹が空くとネズミや虫を食べる生活を送ってきました。
梅の誕生で自信をもつ
梅が生まれてから妓夫太郎の中で何かが変わりはじめます。
梅の美貌は大人たちがたじろぐほどで、そんな妹がいることが妓夫太郎にとってのステータスであり劣等感など吹き飛ばしてしまいました。
自分がケンカに強いということに気づくと「取り立て」の仕事を始め、自分を恐れる人たちを見てさらに自信がついていきます。
妹が燃やされる事件
順風満帆の日々もそう長くは続かず、13歳のある日不幸が訪れます。
なんと梅が客の侍の目玉を簪で刺し失明させてしまったのです。その報復として梅は生きたまま焼かれてしまいました。
梅は妓夫太郎から「奪われる前に奪え、取り立てろ」と教え込まれてきたので、その結果がこの状況になってしまったのかと・・。
妓夫太郎が仕事から帰ってくるとすでに梅は丸焦げ状態に。
梅を抱きしめて泣きじゃくる妓夫太郎でしたが、突然後ろから男に刀で切りつけられます。
簪で突かれて失明した男です。
しかし妓夫太郎は持ち前の強さで一瞬でその男を倒してしまいました。
鬼に勧誘される
妓夫太郎は丸焦げになった梅を抱え、不幸な自分の人生に疑問をもちながら歩みを進めます。
と、そこへ現れたのは上弦の弐の童磨でした(当時は上弦の陸)。
童磨「その娘間もなく死ぬだろう お前らに血をやるよ 二人共だ ”あの方”に選ばれれば鬼となれる」
そうして童磨から血をもらったふたりは鬼になってしまうのです。
死亡シーン
堕姫は善逸と伊之助に、妓夫太郎は炭治郎によって頚を斬られます。
堕姫「なんで助けてくれなかったの!? この役立たず!強いところしかいいところがないのに! アンタみたいに醜いやつがアタシの兄妹なわけないわ!!」
妓夫太郎「出来損ないはお前だろうが 弱くて何の取り柄もない お前みたいな奴を今まで庇ってきたことが心底悔やまれるぜ お前さえいなけりゃ俺の人生はもっと違ってた お前さえいなけりゃなあ!!」
崩れかけの頚だけ残ったふたりはお互いがお互いを罵倒します。
ただふたりとも本心ではそんなこと微塵も思っていなくて、負けたことが悔しくてその鬱憤を晴らすようにして口から出ちゃっただけなんですよね。
相手が強く言ってくるからこっちもつい言い返しちゃう・・みたいな。
ふたりで地獄へ
気づくと妓夫太郎は真っ暗な空間にいました。
梅「お兄ちゃん!!」
振り返るとそこには梅の姿が。
妓夫太郎は、「鬼」ではなく「人」の姿をしている梅を見て、地獄へいくのは自分だけだと悟り無視してひとりで先へ行こうとします。
梅「さっきのこと怒ったの?謝るから許してよ お兄ちゃんのこと醜いなんて思ってないよ! 負けて悔しかったの アタシのせいで負けたって認めたくなかったの」
妓夫太郎「お前とはもう兄妹でも何でもない 俺はこっちに行くからお前は反対の明るい方へ行け」
しかし梅は妓夫太郎の背中に飛びついて離れようとしません。
梅「嫌だ!絶対離れないから ずっと一緒にいるんだから! 何回生まれ変わってもアタシはお兄ちゃんの妹になる絶対に!! ずっと一緒にいるんだもん! 約束したの覚えてないの!?」
その言葉に妓夫太郎は幼少の頃交わした「ずっと一緒にいる」という約束を思い出し、ふたりで地獄へと向かっていくのでした。